節目を迎える野球部――伝統を紡ぎ、新たな歴史へ
一昨年の宇高野球部は、秋季・春季大会ともに2回戦敗退という悔しい結果に終わりました。しかし選手たちは、その経験を糧に鍛錬を重ね、夏の選手権大会で大きな飛躍を遂げました。
躍進を支えたのは、見目投手を中心とした守備力の向上です。安定した投球と冴え渡る変化球がチームに落ち着きをもたらし、内外野の連携も一層強化されました。その結果、昨年は25年ぶりとなる夏のベスト8進出を果たし、同窓生や保護者、在校生に大きな感動を届けました。

この飛躍の背景には、12月と6月に行われた東京大学野球部との合宿があります。保科主将は「東大合宿を経て、3年生のマインドが変わったことが夏の勝因だった」と振り返ります。篠崎監督が語る「滝の原魂」に通じる精神を持つ東大生たちの姿に触れ、選手たちは野球技術のみならず、人間的にも大きく成長しました。その成長こそが、夏の躍進を支えた原動力となりました。
東京大学野球部との交流は、篠崎監督をはじめ、森田元部長、金田前部長、そして現・砂川部長へと受け継がれてきた伝統あるつながりです。現在も宇高野球部OB5名が東大野球部に在籍しています。また、この春から社会人となった中山太陽さんは、東京六大学野球において二季連続でベストナインに選出され、同部歴代最高打率を記録するなど、東京六大学野球連盟結成百周年という節目に大きな足跡を残しました。
さらにこの夏、長年チームを率いてきた篠崎監督が勇退されます。「日々努力」を信条に掲げ、選手を育て続けてきたその姿勢は、まさに「宇高マインド」を体現するものでした。監督が「自分自身が努力を学ばされた」と語る教え子の田口怜門さんは、朝練や部活動後の自主練習を毎日欠かさず続けました。修学旅行にもバットを持参し、ホテルの駐車場で素振りを行うなど、その取り組みは徹底していました。大学野球引退後もその姿勢は変わらず、勉学に打ち込み、この春から医師として新たな道を歩み始めています。
東大合宿と滝の原の地で身につけた「人間力」は、卒業後にこそ真価を発揮します。その象徴ともいえるのが、医師として歩み始めた田口さんであり、東京六大学野球で歴史を刻んだ中山さんです。
そして令和8年、宇高野球部は創部130周年を迎えます。5月5日には清原球場で水戸一高との定期戦が行われました。明治29年に始まった伝統の一戦は、今もなお両校の歴史をつなぎ続けています。
選手たちの挑戦と成長、そして歴代指導者が築いてきた伝統と交流は、百三十周年という節目を経て、さらなる飛躍へとつながっていくことでしょう。
(宇高同窓会73号より一部改変)

長島 大輔(平成6年卒)