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日本ハイパーサーミア学会特別講演体験記 共創から始まる「愛され学会」のつくり方~どう温熱仲間を増やす?~

平成11年卒業の竹田陽介と申します。この度、東京支部副支部長の黒﨑弘正先輩(平成元年卒)が大会長を務められた、日本ハイパーサーミア学会第41回大会「温熱仲間を増やす」(2024年9月6~7日@タワーホール船堀)の特別講演の光栄に預かりましたので、ご報告させていただきます。

ハイパーサーミア(温熱療法)は、放射線治療や化学療法との併用で優れた効果を発揮するがん治療として、近年注目が高まっており、今後は免疫療法や様々な新規がん治療薬との併用で飛躍的な進歩も期待されています。(ハイパーサーミアでは、43℃になると癌細胞が死んでいきます。抗がん剤や放射線治療と組み合わせることで、1+1=2の効果ではなく、相乗的に大きな治療効果を得られるそうです)

大会長の黒﨑先輩のもと、今大会は非常に充実したプログラムとなり、全国から多くの医師、研究者が集まる盛況な学術集会となりました。黒﨑弘正先生、学術集会のご盛会、誠におめでとうございます。 私も黒崎先輩と同じ医師ですが、循環器内科医ですので、がん治療は専門ではなく、がん治療として注目されるハイパーサーミアを学べた貴重な機会になりました。

特別講演にて、黒﨑先輩に座長を務めていただき、私は【共創から始める「愛され学会」のつくり方〜温熱仲間をどう増やす?〜】と題して、お話させていただきました。

私はこれまで、循環器系の学会を中心に、様々な学会の企画・運営、広報支援、将来設計のコンサルティングをして参りました。その中で、学術活動にとどまらない、社会における学会の役割を学会組織が自ら見つめ直し、学会組織を開き変化していくことの重要性を学びました。私のそういった仕事背景から、今回黒﨑先輩が私を特別講演の演者として抜擢してくださいました。

講演では、昨夏のCVIT2023(循環器カテーテル治療の学会)における「脈博〜医療とエンタメでココロを揺らそう〜」の事例紹介も含め、社会に開かれた「愛され学会」のつくり方と、病院事例も参考にした学会の新しい仲間づくりの可能性についてお話ししました。

本邦には、専門領域ごとに細分化された非常に多くの学会が存在しますが、コロナを経て、いくつかの中小学会の持続可能性に警鐘が鳴らされています。これからの学会組織には、従来の学術活動に加えて、「専門家の集まり」に留まらない幅広い「仲間づくり」が求められています。

学会を「より良い社会づくりに貢献する学術活動の場」として、社会の広い層(市民や企業、自治体)に理解、賛同してもらうことが、次代の研究者、運営の支援者(企業など)を集めていくための鍵になると思います。社会との新しい接点・交流を通じて、学会が「社会全体で学術の発展を共有し、未来を共創する場」に進化していく、そんな次世代の学会づくりに向けて、私の特別講演が少しでもお役に立てていれば嬉しいです。

情報交換会では、黒﨑大会長が最初の開会あいさつで、「2009年に黒﨑大会長の父親:黒﨑紀正先輩(昭和36年卒)が特別講演、またおそらくは黒﨑大会長の最初の恩師の新部英男先輩(昭和28年卒)が大昔にやはり特別講演したと思われるので、竹田先生は宇高3人目の特別講演者だろう」とお話されており、改めて宇高の繋がりへの感謝の念が深まりました。

黒﨑大会長は、将来また何か学会があれば宇高生を特別講演に呼びたいと話しておりました。また特別講演で宇高生が演者に選ばれるのが楽しみです。

今回、ハイパーサーミア領域がさらに発展する転機となりうる学術集会の特別講演という栄誉ある舞台で、黒﨑先輩に自分の講演の座長を務めていただいたことが大変嬉しく、私にとって忘れられない学会になりました。

放射線腫瘍医/腫瘍内科の先生方を中心に、これから益々ハイパーサーミアにおける多分野・多職種の協調が活発になり、未来の医療を切り拓く新しい研究成果と社会共創が生まれることを心より祈念しております。

情報交換会にて 中央:筆者 右:黒﨑弘正大会長(H1卒)