会員投稿,  同窓会本部

十年会:昭和四十一年卒を代表して

「おっさんになっても、一瞬であの頃に戻れる」——平成18年卒が語る、宇高10年会・初参加レポート!にもありましたが、令和8年5月16日(土)宇高講堂にて「10年会」が行われました。その際に昭和41年卒を代表して挨拶の機会を得ましたので報告させていただきます。

十年会での一コマ:左奥H28 中央奥H18 右奥H8 左手前S61 中央S51 右S41

昭和41年卒の山形俊男です。同期を代表して、ご挨拶する機会を頂き、地元に育ったものとしてとても光栄です。
地元といいましたのは、先祖が江戸時代に、山形の寒河江のあたりから時宗のお坊さんと一緒に移り住み、高校のある滝の原から西原地区周辺の開墾に従事したからです。その時に背負ってきた地蔵菩薩は今も一向寺に預かっていただいています。宇高の裏門近くの田んぼで農作業をしていた本家の伯父に「としぼー頑張れよー」と声をかけられるのはとても恥ずかしかったですが、当時の親の世代よりもはるかに年を重ねた今となっては懐かしいばかりです。

左:一向寺(宇都宮市西原)本堂 右:十年会で配られた「瀧の原」

私は幼いころから自然のいろいろな現象が好きでしたので、大学でもその分野に進み、いまも海や空の現象や気候の予測研究を続けています。この夏には太平洋にはエルニーニョ、インド洋にはダイポールモードが同時発生するので、いつにもまして極端な気象現象が起こりそうです。思えば私たちの青春時代には学生運動がとても盛んで、豊かな才能あふれる同輩たちが、それを開花させる前に、その純粋さゆえに、嵐の中に去ってしまったのはかえすがえす残念です。大学時代に知ったのですが、アンドレ・モーロワが、五つのL’art de vivre、生きるすべとでも訳すべきでしょうか、これを次のように分類しています。

―第一に、柔軟かつ明晰に考える術
―第二に、優しく愛する術
―第三に、喜びをもって働く術
―第四に、責任感をもって人を指導する術
―そして、健やかに老いる術

彼は人生の各段階でこの生きるアートが大切だといっていますが、振り返るとまさにその通りだと思います。
私も社会の荒波の中で紆余曲折はありましたが、一貫して空や海の変動の研究を続けることができたこと、そして今こうして、同期の仲間と十年会に参加できるのはとても有難く思います。恩師の先生方はみな亡くなられましたが、人生の早い段階で柔軟かつ明晰に考える術を教えていただいたのは最高の贈り物でした。
アンドレ・モーロアの言う最後のアートである「健やかに老いる術」を磨く段階に来た四十一年卒を代表して、簡単ですが、お集まりいただいた後輩の皆さんに贈るメッセージといたします。ありがとうございました。

山形 俊男(第42代東京大学大学院理学系研究科研究科長・理学部学部長)