滝の原会館でも撮影：本校出身荒井退造を主人公の1人とする映画「島守の塔」公開のご案内

皆様は「島守（しまもり）の塔」をご存じでしょうか。毎年6月23日の慰霊の日（沖縄戦終戦の日）に平和記念式典が行われる、沖縄県糸満市の平和記念公園にある沖縄戦で殉職した県職員を祀る慰霊塔す。
この場所は、第二次世界大戦で日本国内唯一の地上戦となった沖縄で「命（ぬち）どぅ宝（命こそ宝）行き抜け！」と叫び続けた、当時の沖縄県知事・島田叡（しまだあきら：兵庫県出身　兵庫高校＞東京大学）と沖縄県警察部長・荒井退造（大正9年旧制宇都宮中学卒）の終焉の地です。摩文仁の丘の中央にある「島守の塔」の隣には、南方方面で戦没された本県出身将兵約３万１千５百柱の慰霊塔「栃木の塔」。奥の小高い山の上には、島田と荒井の連名の「終焉の地」の碑があります。その背中合わせに島田の出身地である兵庫県の慰霊塔「のじぎくの塔」が立っています。
これらの三つの塔の配置は、まるで「生きることの尊さ」を後世に伝えてほしいと、この地で生涯を閉じた荒井と島田の信念を継承し、三県の慰霊塔が寄り添っているかのようにも思えます。そして、沖縄戦を知る沖縄県民は荒井、島田を「沖縄の島守」と慕っています。

第二次世界大戦で、沖縄戦の戦没者は約20万人にも上り、東京大空襲（約11万人）、広島原爆（約14万人）、長崎原爆（約7万4千人）より多い尊い命を失いました。映画「島守の塔」は、戦中最後の官選知事である島田叡と共に沖縄県民の命を守ろうと苦悩し努力した、本校出身の荒井退造と沖縄の人々との物語です。荒井退造は明治33年に栃木県清原村（現・宇都宮市上籠谷町）に生まれ、本校を卒業後、高千穂高等商業学校（現・高千穂大学）と明治大学を卒業後内務省に入省。昭和18年、沖縄県警察部長に就任しました。沖縄が戦場となる危機が迫るなか、戦況を楽観視し疎開政策に消極的だった当時の知事に代わり、県民の疎開・保護に尽力しました。昭和20年１月に島田叡が沖縄県知事着任後は二人三脚で奔走し、3月までに県民7万3千人の県外疎開に尽力しました。米軍上陸により県外疎開が不可能となった状況でも合わせて延べ20万人の命を救ったとされています。最期は島田知事と摩文仁の森へ向かったのち消息を絶ち、今日まで遺体は発見されていません。

映画は令和2年3月にクランクインしましたが、新型コロナ感染拡大の影響により、たった4日間の撮影だけで1年8カ月の間、撮影を休止せざるを得ない状況に陥りました。コロナ禍の撮影の難しさに加え、再撮影と感染防止にかかる費用がかさむなど、経済的な負担も大きくなり、大きな痛手となりました。そこで、製作委員会では、企業団体様のご協賛に加え、個人支援制度の「映画島守の塔サポーター」を創設し資金調達をいたしました。
特に宇都宮高校出身の企業人などたくさんの方々の支援のおかげで2021年秋撮影再開、沖縄本土復帰50年となる令和4年3月無事完成しました。
戦中最後の沖縄県知事として赴任し、軍の命令に従いながらも県民の命を守ろうとした島田叡役には映画やドラマへの出演だけでなくマルチに活躍している萩原聖人さん。職務を超えて県民の命を守ろうと努力した警察部長の荒井退造役には日本映画界に欠かせない俳優・村上淳さん。実力派俳優の共演が実現。また、島田の世話役の沖縄県職員・比嘉凛を吉岡里帆さんが熱演。凛の妹で看護学徒隊の比嘉由紀を池間夏海さんが、映画「ひめゆりの塔」に出演していた香川京子さんが現代の凜役を演じています。監督は『地雷を踏んだらサヨウナラ』など社会派作品で知られる五十嵐匠監督です。
栃木県内では宇都宮大谷の地下空間、岩船クリフステージ、市貝町入野家住宅などのほか、宇都宮高校滝の原会館（白亜館）内で陸軍第32軍司令室や沖縄県知事室、沖縄日日新聞社等に模して撮影が行われました。

映画「島守の塔」は、下記の通り7月22日（金）よりシネスイッチ銀座ほかにて順次全国公開となります。是非、この機会にご鑑賞いただければ幸甚に存じます。なおご来場の際は事前に上映館のホームページ等で上映時間等をご確認ください。何卒よろしくお願い申し上げます。

【劇場・公開日】
［東京］
シネスイッチ銀座（東京都中央区銀座４丁目４−５）　7月22日公開
https://cineswitch.com/
［栃木］　いずれも8月5日より公開
宇都宮ヒカリ座（栃木県宇都宮市江野町７−１３）　
MOVIX宇都宮（栃木県宇都宮市インターパーク６丁目１−１）　
小山シネマロブレ（栃木県小山市中央町３丁目７−１）　
フォーラム那須塩原（栃木県那須塩原市豊浦12-1 ビバモール那須塩原内）
※その他エリアにつきましては、決定次第ホームページ　https://shimamori.com/　にて発表い
たします。
　【本件に関する問い合わせ先】
映画「島守の塔」製作委員会 事務局　　　TEL0800-800-8171

飛田博通（昭和53年卒）